すっかりからっぽになったお皿を前に、もっと欲しいと泣き出す我が子。たくさん食べてくれるのは嬉しいけれど、これって食べ過ぎでは?どれくらいならあげていいの?
今回は、私が勤める保育園の保護者からご相談いただいた「子どもが食欲旺盛で、何度もおかわりをしたがる。どのくらいあげてもいいのか?」にお答えしたいと思います。
母子手帳を見てみよう

まずは、母子手帳を確認してください。母子手帳には「乳児身体発育曲線」(こども家庭庁 母子健康手帳p44、p46)が載っています。
「乳児身体発育曲線」から体重が大きく外れていなければたくさん食べても大丈夫です。
今は与えれば与えるだけ食べるかもしれませんが、満腹中枢がしっかりと働き出す完了期以降は、徐々に食べる量が安定してくるでしょう。
そもそも離乳食後期は1回の食事でどのくらい食べる?
離乳食後期は一回の食事でどのくらいの量を食べるのでしょうか。ここからは離乳食後期の食事量目安を解説していきます。
1回の食事量目安|離乳食後期(9〜11ヶ月)
炭水化物 | 軟飯80〜90g |
たんぱく質 | 魚、肉なら15g豆腐なら45g卵なら全卵1/2個 |
野菜・果物 | 30~40g |
炭水化物は5倍がゆなら大さじ6、軟飯だと子ども茶碗に軽く1杯、うどんでは1/3玉程度です。
たんぱく質は魚だと1/7〜1/8切れ、肉ならひき肉大さじ1と1/4、全卵1/2個、スライスチーズでは1/3枚、ヨーグルトなら大さじ5程度になります。
野菜・果物は人参なら3〜4mmの輪切り1個、ほうれん草では葉先12〜16枚程度で、さらに2cmくし形切りりんごやキウイ1/10個などの果物をプラスできると良いですね。
どのくらい食べると食べ過ぎ?

離乳食を食べる量は子どもによってかなり個人差があるうえ、生活環境や活動量によっても変わってきます。
1日で食べ過ぎと判断するのではなく、1週間を目安に考えてみてください。
ただし、以下のような症状がある場合は食べ過ぎかもしれませんので食事の量を見直す必要があります。
- 排便回数が多い(5回以上)
- 下痢・嘔吐をする
下痢・嘔吐をする場合、食べ過ぎ以外に、食材の硬さや大きさ、味の濃さなどが関係している可能性もあります。食材を小さく切ったり、薄味にすることで改善されるかもしれません。
基本的には、いつも元気でよく体を動かして遊んでいるなら、食べ過ぎを特に気にする必要はないでしょう。
もっと食べたくて泣き出す子どもにどう対処すれば良い?
「ごちそうさま」の状況になるとまだ食べ足りない!といつも泣き出してしまう場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
以下のような対処方法があります。
- 納得するまでおかわりをする
- 空になったお皿を見せ「たくさん食べたね」と食べ終わったことを伝える
- 食後にお茶や水を飲んで一区切りする
体重が「乳児身体発育曲線」(参考:こども家庭庁 母子健康手帳p44、p46)から大きくズレていない場合は、納得するまでおかわりをしてみても良いかもしれません。ただし、一回の量を少なめにし、何度もおかわりできるようにしましょう。
食べた後のお皿を見て、たくさん食べたことを一緒に喜び、最後に飲み物を飲んでひと区切りをして、気分を遊びに切り変えるのもおすすめです。
ここからは、実際にあった事例をひとつ紹介します。離乳食の食べ過ぎで悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
事例|Rくんの場合
私が勤める保育園に通っているRくんは当時生後11ヶ月。一人歩きができるようになり、とても活発です。
離乳食は初期から順調に進み、当時は3回食でミルクは1日2回飲んでいました。身長・体重は平均的。
お母さんの悩み
Rくんのお母さんからは、登園時にこのような相談をされていました。
「最近はよく動くからか、本当によく食べるんです。食べ終わった後も、もっと欲しいと泣いて……。今日の朝食後はおかわりでおにぎりとバナナ1本食べました。ご飯やおやつの時間以外でも、バナナやお菓子を欲しがるのですが、食べ過ぎでしょうか?」
保育園で給食を食べるRくんの姿
保育園の給食でのRくんは、いつもおかわりを1回すると納得してごちそうさまをしています。それ以上欲しがることはありません。(お友だちの給食を欲しそうにじっと見つめていることはありますが)
いろいろとお話を詳しく伺っていくうち、保育園との違いがあることがわかりました。
保育園と家の違い
保育園の給食中、Rくんは手づかみやスプーンを使用し、保育者が介助しつつ自分で食べています。こぼすこともありますが、食べることが大好きなので頑張ってできるだけ一人で食べるようにしています。
一方、家ではRくんはイスに座ったままで全てお母さんが食べさせているそうです。Rくんが食べるスピードが早いためあっという間に完食。おかわりを欲しがるとのこと。
ちなみに1回の食事量は同じくらいでした。
対応策
満腹中枢が未熟な離乳食後期は、満腹だと感じるまで時間がかかります。あっという間に食べ終わってしまっては、まだお腹が満たされていないので、どんどん欲しがります。
Rくんは、標準体型ですしそこまで食べ過ぎを気にする必要はないのですが、お母さんが気になっているということもあり、今回は以下のような対応をすることにしました。
お母さんと一緒の時間に、自分でご飯を食べる
今までRくんだけ先にご飯を食べていましたが、お母さんも同じ時間に食べ、そして、保育園と同じように介助しながらRくんが自分で食べることにしました。
その後
お母さんが思っているより、Rくんがご飯を一人で食べられるので驚いていらっしゃいました。自分で食べることで、食べるのに時間がかかるようになり、以前ほど泣きながらおかわりを要求することはなくなったそうです。
まだまだ欲しがることもあるようですが、そこまで気にならなくなりました。
現在
現在Rくんは1歳5ヶ月になり、だいぶ器具の使い方が上手になってきました。手づかみになってしまうこともありますが、ほとんど介助なしで食べています。
お母さんが悩んでいた「もっと食べたい!おかわり!おかわり!」はなくなったそうです。
その代わり、好き嫌いがはっきりと出だし、苦手な食材を嫌がるようになりました。今まで、あんなに喜んで食べていた食材も拒否しています。また次の悩みができましたね。
まとめ
今回は「離乳食後期|子どもが欲しがるだけ与えても大丈夫?」について解説いたしました。
ポイントは母子手帳に載っている「乳児身体発育曲線」です。
たくさん食べても「乳児身体発育曲線」から大きく外れていなければ特に気にする必要はありません。
ただし、
- 排便回数が多い(5回以上)
- 下痢・嘔吐をする
このような症状がある時は離乳食の量や硬さや大きさなどを見直す必要がありますので注意してください。
食べても食べなくても離乳食の悩みはつきませんね。
この時期は離乳食の他にもミルクで栄養を補っています。「乳児身体発育曲線」を見ながら、身長・体重がしっかりと増えているようなら問題ありませんので、無理をせずゆったりと楽しんで離乳食を進めていき、悩み過ぎないようにしましょう。
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